風景スケッチの秘訣

1998-6-20

風景スケッチ 4つの秘訣

勝負は最初と最後の3分です。
風景スケッチの時間配分は、おおよそ次のようになります。(F4スケッチブック)
初めの3分は鉛筆かもしくはカリグラフペンで当りを付け(アウトライン)、次の20分程度でスケッチを行い、約3分でバランスを取り絵にします。

スケッチの秘訣とは、まず当たり線を縦、横に引くことです。

初心者はこの当たり線を引くことが恐く、いきなり対象の建物などを描き出します。

全体の構図 を決めるのに当たり線は重要です。

だいたいどの辺まで画面に入れるか構成を考えながら全体の枠組みを直線(当たり線)で描きます。

カリグラフペンで描く時 には細く軽い線で描くことです。

黄金分割を利用するとよいでしょう。
これが第1の秘訣です。

 


当たり線が引けたら次にスケッチに入ります。

最も印象深いところを中心に全体を同時に描くことが第2の秘訣です。

 

カメラは一瞬のシャッターで決まります。

スケッチの場合、一瞬に描くことはできませんが、この写真のイメージで全体を描くことです。

決してある部分を仕上げてから次の対象物を描くということ はしないことです。

 

現場をよく見ながら80%程度スケッチが完成したところで止め、後は省略することです。

省略せず細部まで描くと説明図となりますがスケッチにはなりません。

余計なものは見えていても描かないことがスケッチの醍醐味で、絵の基本でもあります。

 

第3の秘訣は全体を絵としてまとめることです。

これはスケッチ全体のバランスを取ることで、現場(対象)の物にとらわれないで画面だけをしっかり見て(画面を離して見る)、その風景から受けた感じを表現します。(臨場感)


具体的な表現方法として、例えば、明暗の調子を付けたり、線に方向性を与えて奥行きを表現したり、線の強弱で動きを与えたりして、バランスをとるように描きます。


この最後の3分はとても大事です。

これによって出来不出来が決まると言ってもよく、現場の色や形、光、影等に惑わされないことです。

現場の証明するかのように描いたとしても絵にはなりません。

 

風景は常に変わるものです。美はじっとしていることはありません。

うつろいやすい風景を描くには素早く対象を捕えることで、対象に振り回わされないように訓練します。

 

第4の秘訣は雨の日でもスケッチは決行するということです。
寒い、暑い、雨が降ったなどと言って計画を無駄にするサークルがあります。が、これでは練習にはなりません。

雨の日でもビルの軒下、駅ビルなど探せば雨に濡れずにスケッチをすることができます。

雪の日もまた格別です。

 

天気が良くて、風もなく、暑くも寒くもない日を選んでいたらまず風景スケッチなどできません。

台風は別としてたいていの日はできるものです。

一枚でも多く、描くことです。これは当たり前で、秘訣でもなさそうですが、雨天では風景スケッチはできないものと思い込まないことです。

風景スケッチの手順

1.当たり線を引く。

 

描きたい風景をどのような構成にするか、当たり線を描く。

この当たり線を引きながら全体の構図を考える。

当たり線は、軽く細い線で黄金分割を利用する。

2.最も印象的なところを中心に骨格を描く。


線は強い線、弱い線、リズム感を持たせながら描き進める。

が、いつも全体とのバランスで描き進めて行く。

3.明暗の調子をつける。


ここで注意することは、軒下は暗いなどといった光によってできる影を暗くするということではなく、絵としてのコントラストをつけることです。

4.仕上げはイメージで絵にする。


現場の状況を細部まで描き込むのではなく、その場の雰囲気を強めるため、対象の風景を見ないで、絵として完成させる。

バランスを見ながらオブジェの細部を描き込む。
余計なものをいっさい持ち込まない。